5月病の季節到来――。その5月病、最近はちょっと変わってきたようである。病気が変化したのではなく、その病気にかかる患者の年代に幅ができてきたのである。そこで、「新」を頭につけて、「新5月病」と呼ぶようになってきた。

5月病といえば、それが表れるのは中・高・大学生、そして、新入社員。ちょっと幅を広げても20代後半くらいまでだった。ところが、今は30代、40代、なかには50代にもみられるようになってきた。

その5月病も新5月病も環境の大きな変化が原因となっている。変化は5月に起きるのではなく、4月の時点ですでに起きている。中・高・大学に入学し、会社では新入社員が第一歩を踏み出す。未経験のところに身をおくことになるので、そのストレスたるや大変なものがある。

未知の経験はベテラン社員にも起きることはある。

40代後半の営業マンが4月に総務に異動となった。営業が天職と思っていただけに、机に向かって1日中パソコンを打つ日々が辛かった。そのうち慣れるだろう、と思っていたが、総務はシーンとしている。慣れるどころか、日を追うごとに食欲不振、不眠へと――。

そして、5月の連休後から遅刻が続き、ついに会社を休むようになった。

環境の変化によるストレスが1カ月も続くと、体に変調をきたして当然。ただ、多くの人は、そのストレスをなんとか解消している。が、それができないと、「うつ状態」「不安状態」「攻撃的行動」などが起きてくる。重症化すると「出社拒否」や「引きこもり」に――。

この5月病は「適応障害」のひとつである。環境の変化という大きなストレスによって引き起こされる。

適応障害と気付いたら、自分で改善しようと思わず、精神科や心療内科を受診し、診療を受けるのが1番。専門医の力を借りて、原因となったストレスを処理する方法を見つけ出してみる。

そのためにも、まずはゆっくりと休養する。

薬物治療としては、うつ状態の強い場合は「抗うつ薬」が使われ、不安が強い場合には「抗不安薬」が使われる。前述のケースのように不眠が強い場合には、睡眠薬がプラスされることもある。

運動療法としてはウオーキング、太極拳、サイクリングなど。ラジオ体操もいい。適応障害はリズムの病気である。生活からリズムが奪われたとき、それが引き金になることが多い。

長時間のパソコン操作などは「反リズム運動」に該当する。脳内のセロトニン神経は1秒間に2拍くらいのリズム運動によく反応し、逆に同じ姿勢で長時間、体を動かさない状態はセロトニン神経の働きを阻害するからだ。

このほか、精神(心理)療法が必要。自分の感じ方の悪いクセを発見して修正していく。カウンセリングも精神療法のひとつである。

「ストレスに弱い」「傷つきやすい」「コミュニケーションが不得手」「自己表現が下手」な人は適応障害になりやすいと言われている。そのため普段からストレスを上手に発散するように心がけることが必要になってくる。

【生活習慣のワンポイント】

適応障害の人は、食生活にも重点を置き、脳内の神経伝達物質“いやしのホルモン”と呼ばれるセロトニンを増やすようにする必要がある。

それには、セロトニンの原料になるアミノ酸の一種「トリプトファン」を多く含む、バナナ、牛乳、大豆製品、青背の魚、卵、のりなどを積極的に摂取しよう。このほか、トリプトファンの働きを助けるビタミンB群、マグネシウムも必要となる。

つまり、バランスの良い食生活が大切。そのためには主菜のほかに、副菜を3品くらい。量はそれほど多くなくていいので種類を増やすのが、ベストである。