上司のためになる助言、どうやって伝えるべきか

誰かと緊密に働いていると、相手の仕事ぶりについて有益な気づきが得られるものだ。クライアントとの打ち合わせ、プレゼンテーション、一対一の議論や交渉など、さまざまな場面で接するはずの上司については特にそうである。だが、上司にとって有益な意見だとしても、部下はそれを上司に伝えるべきなのだろうか。自分の気づいたことを伝えることで、自分の職や、上司との関係を危うくするおそれはないのだろうか。

上司に対していわゆる「アップワード・フィードバック(下から上への評価や意見)」をすることは、簡単には習得できない難しい技である。

だが、部下の気づきは、もし正しいやり方で慎重に伝えたならば、上司にとって役立つだけでなく、仕事上の関係を深めることができるのだ。『Lead Your Boss : The Sub tle Art of Managing Up』の著者で、リーダーシップに関するコンサルティングやコーチングを行っているジョン・バルドーニはこう語る。「自分がどのように見られているかを知らなければ、リーダーはよい仕事ができない」。だが、組織の上層にいればいるほど、リーダーが率直な意見を得るのは難しい。コーネル大学ジョンソン経営大学院准教授のジェームズ・デタートは、「指揮命令系統に頼りすぎると、リーダーはごまかしのない真実を知ることができない」と言う。

部下からの意見は、上司が自分は人からどのように見られているかを知る助けになり、仕事のやり方を調整する手助けをしてくれる。だが、部下がこの種の意見をするにあたっては、以下の原則を念頭に置いて慎重に行動する必要がある。

信頼関係がないと聞いてもらえない

部下の意見がきちんと受け取られるかどうかは、その上司との関係によって決まるものだ。もともと信頼がなければ、意見は聞いてもらえない。

まずは上司がそれを受け入れる態勢にあるかどうかを見きわめよう。上司との関係が険悪な場合や、忠言を受け付けないことが明白な場合には、何も言わないほうがよい。