日本人の「高齢化」「食事の欧米化」などが原因で、ガン死亡者は増加しているが、胆道ガンもそのひとつ。年間死亡者数約1万7000人。ガン死亡者数の中で第6位となっている。

その胆道ガンは、胆管と胆のうにできるガンをいう。つまり、胆道は胆管と胆のうの総称。脂肪の消化・吸収を助ける胆汁は肝臓でつくられ、胆管を通って十二指腸へ流れ出る。

その途中に、胆汁を一時的にためておく胆のうがある。天ぷらやカツなど、脂肪の多い物を食べると、胆のうにためられていた胆汁がドッと絞り出される。胆管、胆のうのどちらにガンができるかで、症状や発見のされ方が大きく異なる。

胆管ガンの場合は、「黄疸(おうだん)」「灰白色便」「褐色(紅茶色)尿」「かゆみ」などの症状が出る。ただし、この症状に気付いたときには、すでにかなり進行していることが多い。

一方、胆のうガンは偶然に発見されるケースが多い。その偶然とは、胆石を持っていた人が、たまたま胆石の検査をしていて発見される場合である。

そのためか、「胆石のある人は胆のうガンになりやすい」という声もよく聞かれる。事実、胆のうガンに胆石が併存する頻度は40~70%と高い。が、それは「胆石のある人は胆のうガンになりやすい」ことを裏付けるものではない。ただ、胆石のある人はときに検査を行って、胆のうの壁に肥厚がみられないか精査するのが大事になる。

一方、胆道ガンができるとして、予防的手術が行われている疾患もある。それは、「膵胆管合流異常」である。

胆管と膵管は十二指腸に入る手前で合流しているが、その合流形態に先天性奇形があるもので、膵液が胆管、胆のうに逆流し、結果、胆道ガンができてしまう。

また、胆のうポリープは多くは良性だが、一部に腺腫や早期ガンが含まれることがある。

胆道ガンの早期発見は難しいが、なかには予防や早期発見に結びつくケースもあるので、それを逃してはいけない。

胆道ガンが疑われる場合、かつてはPTC(経皮経肝胆管造影)検査が行われていた。胆管に針を刺す検査とあって体への負担が大きく、今はまず行われない。

現在では腹部超音波(エコー)検査とCT(コンピュータ断層撮影)検査が基本である。そして、MRI(磁気共鳴断層撮影)検査をさらに高度化したMRCP(磁気共鳴胆管膵管撮影)検査ではガンの広がりまでも診断できる。この検査がPTC検査を不要にした。

胆道ガンと診断されると、治療の基本は手術。再発したり、ガンが取り切れなかった場合は化学療法が行われる。

 

食生活のワンポイント

免疫力の強い、ガンに対抗する強い体をつくるには、バランスの良い食事が基本となる。穀類、いも類、豆類、野菜類、果実類、きのこ類、魚介類、肉類、海藻類などの食材から、1日30品目を食べるようにすると、自然とバランスのとれた食事になるはず。

そのうえで、次の3点に注目しよう。

(1)野菜と果物の両方で1日400グラムは摂取しよう!

「そんなにたくさん食べられない」という人もいるが、ゆでたり、煮たりして食べると十分食べられる。

(2)きのこは1日1品は必ず食べよう!

きのこにはガンの増殖を抑える働きがある。国立がんセンターの研究によると、増殖阻止率の第1位はマツタケ、以下、ナメコ、エノキダケ、シイタケの順。きのこはノンカロリーなので、ダイエット食としても人気。1日1品といわず2品でもOK。

(3)色の濃い野菜・果実を食べよう!

色の濃い野菜・果実などは抗酸化力が強い。トマトにはリコピン、ブルーベリーにはアントシアニン、ホウレン草にはルテインなどの抗酸化物質が豊富に含まれている。