キャリアプラン示せぬ徒弟制度という「悪弊」

「若い人が夢を夢で終わらせないための『階段』を提供するのが会社の役割なんです」――そう言い切るのは、アルテ サロン ホールディングスの吉原直樹社長(51歳)。同社は首都圏で「Ash」、関西圏で「ニューヨーク・ニューヨーク」といった美容室FC(フランチャイズチェーン)を展開。2004年にジャスダックに上場し、M&Aも絡めて店舗網を拡大中だ。

若手社員のやる気をどうアップさせるか、早期に戦力としてどう定着させるかは、昨今の会社組織共通の悩みである。とりわけ美容業界は独立志向が強く、退職率が高い。そのため、長期的展望に立った経営ができないのが常だという。

その背景に、業界に根を張ってきた徒弟制度がある。

カット試験。月1回、営業時間後にアシスタントたちが集う。
写真を拡大
カット試験。月1回、営業時間後にアシスタントたちが集う。

「若年のうちは低賃金で働かせるだけで、将来のキャリアプランを示してあげられない。また、独立できても開店に多額の資金が必要なため、多くの人が小さな美容室で独立し、その後も発展性のない経営を余儀なくされています」

それなら、最初から駅前の立派なお店を転貸し独立させてあげよう――これが吉原氏のやり方だ。暖簾分けして店長に店舗経営者として独立してもらい、FC展開することでブランドを拡大するのだ。

若手の成長には、他人や会社に強制されないモチベーションが大前提となる。ただ昨今の会社組織は、給与・キャリアの「右肩上がり」は必ずしも保証されない。「食べていく」という動機だけで気持ちを持続させるのは難しい。