いまだ先行きの見えない「コロナ不況」の出口はあるのか。経済アナリストの森永卓郎氏は「特効薬は消費税減税しかない。しかし政府は一律10万円でお茶を濁し、減税を回避しようとする姿勢を見せている。これは史上最悪の愚策だ」と指摘する――。

※本稿は、森永卓郎『年収200万円でもたのしく暮らせます コロナ恐慌を生き抜く経済』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

参院予算委員会で2020年度補正予算案が全会一致で可決され、一礼する安倍晋三首相(手前左端)ら
写真=時事通信フォト
参院予算委員会で2020年度補正予算案が全会一致で可決され、一礼する安倍晋三首相(手前左端)ら=2020年4月30日、国会内

現金給付だけでは景気は戻らない

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済失速に関して、安倍総理は、2020年3月17日の自民党両院議員総会で、「厳しい状況の経済をV字回復させるため、思い切った強大な経済政策を大胆に練り上げていこうではないか」と声をあげました。

ただし、V字回復につながる肝心の具体策には言及していませんでした。アフターコロナ、正確にはバブルがはじけた後の景気浮揚対策という点で、特効薬は「消費税削減」しかないと私は考えています。

経済対策を考える際に、「応急処置」と「治療」は分けなくてはなりません。現金給付や持続化給付金、緊急融資は止血剤のようなもので、景気対策としては、消費税減税が最も望ましいと考えます。現金給付などで当座をしのいでも、需要を回復させなければ、景気は戻らないからです。