では、個人投資家はどんな投信を選べばいいのか。給料が増えない分、お金に働いてもらうのが目的なのだから、長期運用を前提にした投信であることは絶対条件だ。例えば、相場の流行やテーマに乗った銘柄を集めたファンドなどはその対極にある。こんなものは相場の流れが変わった途端に寿命が尽きてしまう。

長期運用を前提とするならば、運用はごくごくオーソドックスであるべきだ。要は、企業価値に比べて株価が安い銘柄を買い、株価が価値に追いついたところで売却する。これを愚直に繰り返すスタイルの投信を選ぶことが大切だ。

表を拡大
長期保有タイプの投信

投信が運用する対象と銘柄も利益拡大だけに注目するのではなく、世の中にとって必要なビジネスか。応援する価値があるかといった点を投信選択の基準にする。仮に、さらに値下がりしても気にしない。なぜなら金融危機が起きても世の中が終わるわけではなく、いずれ景気は回復し、株価も上昇に転じる。そのときには安く仕込んだ株が多いほど、手にする果実も多くなる。

そうした投信こそが、長期投資向きであり、投資家もそんな投信を信用したら目先の値動きに一喜一憂などせずに持ち続ける。それが投信と個人の本当のつき合いではないだろうか。

もちろん、買った投信の値下がりは不安だという人もいる。そんなときは、自分が将来投資に成功してプチお金持ちになった姿をイメージするといい。すると、余裕たっぷりの資金で投資していると思えるから、多少値下がりしても焦らず、のんびり構えることができるはずだ。

(平原 悟=構成 的野弘路=撮影)