中国による「国家安全法」の導入をめぐり、反政府デモが続く香港。大手銀行や地元企業が中国を支持する一方、イギリスやアメリカは同盟国と香港市民を受け入れるための協議を進めている。香港居住権をもつ在英ジャーナリストのさかいもとみ氏が解説する――。
中国政府による香港の国家安全法導入に反対するデモ開始前、米国旗を掲げる参加者=2020年5月24日(中国・香港)
写真=AFP/時事通信フォト
中国政府による香港の国家安全法導入に反対するデモ開始前、米国旗を掲げる参加者=2020年5月24日(中国・香港)

アメリカの国務長官が香港に言及

政治や言論の自由が「保障」され、アジアを代表する世界的な金融経済の中心地として機能してきた香港。ところがここへきて、香港を領土として取り込んだ中国が「一国二制度」を揺るがすと懸念される「国家安全法」を香港にも適用すると採択。かつての宗主国・英国はもとより、目下、貿易紛争で中国と対峙するアメリカをはじめとする各国が「これは国際公約違反だ」と一斉に非難を行っている。

そうした中、ポンペオ米国務長官は6月10日、香港を代表する金融機関で、今もロンドンに本社を持つメガバンクのHSBCが同法の支持を表明し、中国側に“日和ひよった”ことに対し、「(中国政府の)威圧的な嫌がらせ戦術に加担」と断罪。キッパリと裏切り者との烙印を押した格好となっている。

では、いま香港で活動する法人や企業人がこの混乱のさなか、どんな立場を取っているか、改めて分析してみたい。