金曜夜9時を回ろうかという頃、街のあちこちで繰り広げられる「どうですか、もう一軒」「いや私はこれで」「まぁそう言わずに」の光景。傍目には一種の予定調和的な儀式に見えなくもない。名付けて「イヤよイヤよも好きのうち」プレー。しかし、義理のある相手から誘われたとき、それを大人の対応でかわしたいと思いつつ、いい方法が浮かばないことが、この立ち往生のもう一つの原因かと思う。

二次会には行かないと決めている/付き合うべき人とそうでない人を選別している
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二次会には行かないと決めている/付き合うべき人とそうでない人を選別している

ジョンソン・エンド・ジョンソンをはじめ複数の企業で経営職を務めた新将命氏は「お付き合いが仕事の潤滑油になることは否定しません。とくに相手が顧客ならなおさらです」と、インフォーマルな酒席の重要性を認める。しかし、「はたしてそれが唯一無二の方法なのか。お互いにとってもっと有益な時間の使い方がないか、一度じっくり考えたほうがいい」と、その比重のとらえ方に疑問を呈する。

その新氏は、30代半ばで休日の付き合いゴルフをきっぱりとやめた。代わりに業界事情や商品情報などのビジネスに役立つレポートや、おもしろいと思った本を顧客にプレゼントし、情報提供という形でのコミュニケーションに力を入れるようにしたという。

「ゴルフは2万円かかるけど、本なら2000円くらいで済む(笑)。取引先からも喜ばれるし、自分の勉強にもなるので、一石二鳥です」と新氏。少々の義理は欠いてもその分を本来の仕事で補い、結果をプラスに転じさせた妙技とも言えるだろう。

一方、「もともと朝型で夜は苦手」というマネックス・ユニバーシティ社長の内藤忍氏は、二次会を断る方法として「そういう人だと思わせればいい」と、さらりと言ってのける。

「一次会が終わったら普通に『帰ります』と言って帰っています。毎回そうなら不思議には思われない。子供がいるからとか、妻がうるさいとか下手に言い訳する必要はないと思いますよ」

周囲も慣れたもので、とくに引き留めはしないという。「礼儀正しい人が突然べらんめえ調で話し出すと驚くけど、ふだんから口の悪い人なら許容されるのと同じ。相手の期待値コントロールです」と内藤氏。

そこまで白黒はっきりつける気になれないなら、「一次会の終わり頃に、咳き込む仕草をしてみる」という田島弓子氏の案を参考にしたい。田島氏はマイクロソフト日本法人で、女性では数少ない営業部長の経験をもつ。