地球温暖化問題は「世紀のペテン」か?

――今般上梓された『排出権商人』でも中国の排出権ビジネスを描かれていますね。

新疆ウイグル自治区の風力発電、山西省の炭鉱のメタンガス回収・発電、天津市の熱供給事業のエネルギー効率化という3つのCDM事業を取り上げました。

新疆ウイグル自治区の首府のウルムチ市から50キロメートルくらい離れた風力発電地区を取材しましたが、常に強い偏西風が吹いていて、髪の毛は逆立つし、取材用のノートは吹き飛ばされそうになるし、こんな土地があるのかと感心しました。

山西省では初日に400キロメートルくらい車で走って陝西省との境の近くにある柳林という炭鉱町まで行き、翌日は600キロメートルくらい走って、省北部の炭鉱町大同まで往復しました。さすがは中国屈指の産炭地で、対向車線をすれ違う石炭トラックから石炭の粉がぱらぱらフロントガラスに降ってきましたね。時間を節約するために、助手席のドアを開けて、ハイウエーを走るトラックの上から立ち小便をしている中国人を見たときは度肝を抜かれました。

――それ以外には、どんな国のプロジェクトを取り上げられたのでしょうか。

マレーシアの養豚場やアルメニアのゴミ処分場のメタンガスを回収するCDMプロジェクトを取材して書きました。養豚場は鼻が曲がるほど臭く、ゴミ処分場ではハエにたかられて参りましたね。

――ところで、実は地球は温暖化していないという話を最近よく耳にします。

地球温暖化問題は、冷戦が終了し、仕事がなくなった科学者たちを大量にかかえた欧米諸国が、新たな商売のネタや中東やロシアへのエネルギー依存度の低減などを狙ってデッチ上げた「世紀のペテン」で、そこに研究費がほしい学者、天然ガスや原子力の関係者、国連官僚、認証機関、コンサルタント、金融機関などが乗っかったという説ですね。わたしもその可能性はあると思います。

最近もイギリスの東アングリア大学の研究者たちが、地球が温暖化しているように見せかけるため、データを操作していたことが発覚しています。詳しくは『排出権商人』を読んでほしいのですが、「世紀のペテン」かどうかの答えが出るのは、10~15年後でしょう。

ただ、温暖化が本当だという可能性もありますし、再生可能エネルギー源を増やして既存の化石燃料などを温存するのは悪いことではないので、しばらくは両睨みでいけばいいのではないでしょうか。

(プレジデント編集部=インタビュー 川本聖哉=撮影)