2010年7月31日(土)

生活費月50万円でも足りなくなる超セレブな家族

荻原博子の年収別メタボ家計簿ダイエット講座【3:年収4200万円】

PRESIDENT 2009年8月31日号

著者
荻原 博子 おぎわら・ひろこ
経済ジャーナリスト

荻原 博子1954年生まれ。経済事務所勤務後、82年からフリーの経済ジャーナリストとして、新聞・経済誌などに連載。88年より、女性誌『Hanako』(マガジンハウス)の創刊と同時に同誌に女性向けの経済・マネー記事を連載。家計経済のパイオニアとして、難しい経済やお金の仕組みを生活に根ざしてわかりやすく解説。バブル崩壊直後から、地価の下落やデフレの長期化を予想し、現金に徹した資産防衛を提唱し続けている。『貯め込むな! お金は死ぬ前に使え。』(マガジンハウス)『荻原博子のどんと来い! 老後』(毎日新聞出版)など、著書多数。

執筆記事一覧

経済ジャーナリスト 荻原博子 文=北湯口ゆかり 撮影=川本聖哉
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■福島満子(仮名)
【家族の人数】4人
【家族構成】夫(45歳)、長女(大学1年)、次女(中3)
【世帯年収】4200万円
【貯蓄】子供の大学卒業までの分は確保


 

「生活費として月に50万もらうのですが、なぜか足りなくなっちゃうんです」

おっとりとした上品な雰囲気が漂うセレブ妻の福島さん。夫は、外資系の金融機関に勤務。日常の生活資金として受け取る50万以外は、夫が管理。自分と2人の娘たちの生活にかかる費用は福島さんが、教育費などの多額の出費と夫の身の回りにかかる費用は夫が支払うという具合に担当を分担している。

日常支出の大半を占めるのが、食費と教養娯楽費。買い物はデパート。娘たちはフルートや声楽など音楽を学び、福島さん自身もお菓子やパンづくり、フランス料理、メディカルハーブなど食に関する教室通いを続けている。外食やコンサート、ミュージカル、歌舞伎観賞なども、家族そろって頻繁に楽しんでいる。その結果が冒頭のセリフにつながるわけだ。

一見、絵に描いたような裕福な暮らしを満喫しているように思えるが、安心してばかりもいられない。外資系企業は高額収入の半面、リスクも高い。ミス一つであっさりと職を失う危険と隣り合わせだ。事実、福島さんの夫も昨年リストラにあい、5カ月ほど収入のない期間があった。その後再就職を果たしたが、今後も安定した収入を得られ続けるという保証はどこにもない。その境遇を最も自覚している夫が、家族の生活を守るために、自然と家計の手綱を握るようになった。

例えば、2000年にマイホームづくりを計画した。当然、多額の費用がかかったが、長期にわたるローンは負担になると考え、前倒しで返済し、実質3年半で完済させている。娘2人が大学卒業までにかかる教育費も貯蓄済みだという。

ただ、夫はそうしたリスク回避で努力する姿を、家族には見せていないようだ。

「お恥ずかしいことに、主人が資金をどう運用しているか、まったく知らないんです」。そう語る福島さんだが、表情に不安な様子はない。リストラという重大事にも、「なんとかなるでしょ」と微笑んでいられた。夫のやることを、ただ信じてついていく。夫婦の信頼関係が、この家族の順風な未来を予感させた。



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