■福島満子(仮名)
【家族の人数】4人
【家族構成】夫(45歳)、長女(大学1年)、次女(中3)
【世帯年収】4200万円
【貯蓄】子供の大学卒業までの分は確保


 

「生活費として月に50万もらうのですが、なぜか足りなくなっちゃうんです」

おっとりとした上品な雰囲気が漂うセレブ妻の福島さん。夫は、外資系の金融機関に勤務。日常の生活資金として受け取る50万以外は、夫が管理。自分と2人の娘たちの生活にかかる費用は福島さんが、教育費などの多額の出費と夫の身の回りにかかる費用は夫が支払うという具合に担当を分担している。

日常支出の大半を占めるのが、食費と教養娯楽費。買い物はデパート。娘たちはフルートや声楽など音楽を学び、福島さん自身もお菓子やパンづくり、フランス料理、メディカルハーブなど食に関する教室通いを続けている。外食やコンサート、ミュージカル、歌舞伎観賞なども、家族そろって頻繁に楽しんでいる。その結果が冒頭のセリフにつながるわけだ。

一見、絵に描いたような裕福な暮らしを満喫しているように思えるが、安心してばかりもいられない。外資系企業は高額収入の半面、リスクも高い。ミス一つであっさりと職を失う危険と隣り合わせだ。事実、福島さんの夫も昨年リストラにあい、5カ月ほど収入のない期間があった。その後再就職を果たしたが、今後も安定した収入を得られ続けるという保証はどこにもない。その境遇を最も自覚している夫が、家族の生活を守るために、自然と家計の手綱を握るようになった。

例えば、2000年にマイホームづくりを計画した。当然、多額の費用がかかったが、長期にわたるローンは負担になると考え、前倒しで返済し、実質3年半で完済させている。娘2人が大学卒業までにかかる教育費も貯蓄済みだという。

ただ、夫はそうしたリスク回避で努力する姿を、家族には見せていないようだ。

「お恥ずかしいことに、主人が資金をどう運用しているか、まったく知らないんです」。そう語る福島さんだが、表情に不安な様子はない。リストラという重大事にも、「なんとかなるでしょ」と微笑んでいられた。夫のやることを、ただ信じてついていく。夫婦の信頼関係が、この家族の順風な未来を予感させた。