産経も朝日も社員の「賭けマージャン」を認めて謝罪

検察ナンバー2の黒川弘務・東京高検検事長(63)の賭けマージャン問題について、新聞各紙が5月22日付の社説で一斉に取り上げた。産経新聞と朝日新聞は、記者らが黒川氏と賭けマージャンをした事実を認め、「取材のためと称する、不正や不当な手段は決して許されない」(産経社説)、「社員の行いも黒川氏同様、社会の理解を得られるものでは到底ない」(朝日社説)と社説に書いている。

黒川氏は「検察庁法改正案問題」の発端となった人物だ。今年2月に63歳の定年を迎える予定だったが、直前の1月末に安倍政権が半年間の定年延長を閣議決定した。改正案は黒川氏のこの異例人事を後付けで正当化するものだと批判されてきた。

産経新聞と朝日新聞の謝罪は当然である。そして、謝罪すればいいというわけではない。まだ「取材源の秘匿」という重大な問題が残されている。これは「社会の公器」ともいわれる新聞の存在意義に関わるものだ。

黒川弘務東京高検検事長の辞表提出について記者団の質問に答える安倍晋三首相=2020年5月21日午後、首相官邸
写真=時事通信フォト
黒川弘務東京高検検事長の辞表提出について記者団の質問に答える安倍晋三首相=2020年5月21日午後、首相官邸

詳細な情報を週刊文春に提供した「産経新聞関係者」

産経新聞(5月22日付)は1面に「本紙調査 おわびします」との見出しを付けた謝罪記事を載せた。社説を取り上げる前に、この謝罪記事について触れたい。

謝罪記事は「個別の記者の取材先などについて記事化した内容以外のことは、取材源秘匿の原則に基づき一切公表していませんが、記者自身の不適切な行為などについては必要に応じて公表しています」と書いている。

沙鴎一歩が気になるのは、「取材源秘匿の原則」という部分だ。

21日(木)発売の週刊文春は、冒頭部分で「『今度の金曜日に、いつもの面子で黒川氏が賭けマージャンをする』」「こんな情報が、産経新聞関係者から小誌にもたらされたのは4月下旬のことだった。『今度の金曜日』とは5月1日を指していた」と書いている。

さらに賭けマージャンの場所をAという産経新聞社会部記者の自宅マンションと特定するなど、「産経新聞関係者」が詳細な情報を週刊文春に提供したような書き方をしている。この「産経新聞関係者」とは一体、だれなのか。