三洋電機から昨秋に発売された、米こめ粒つぶからパンが焼ける家庭用ベーカリー「GOPAN」。年間45万台が販売される家庭用ベーカリー市場において、ひと月でその10分の1以上を達成。生産が追いつかず3月まで予約すら中止となった超人気商品だ。人気の背景には何があるのだろう。

米が材料なせいか、パンといえども和食のおかずにも合う。「新しい食生活の提案もできる」と広報の寺嶋さん。
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米が材料なせいか、パンといえども和食のおかずにも合う。「新しい食生活の提案もできる」と広報の寺嶋さん。

実は、食糧自給率上昇に貢献したいという想いを強く持つ三洋電機は、2003年に米粉(こめこ)からパンを作れる機械を発売している。だが「期待に反してさっぱりでした」(広報の寺嶋秀市さん)。

当時の状況を、家電コーディネーターの戸井田園子さんは「まだ米粉パンというものが一般に知られておらず、米粉の値段が高いうえに手に入りにくいのもネックだった」と分析する。

それから7年。時代は変わった。食品の安全が叫ばれ、何でも手作りしたいという人が増え、“家食”もブーム。米粉から作るパンやドーナツなども人々に認知されたし、小麦アレルギーの人も少なくない。「しかもこのパン、しっとりしていて年配者にも食べやすいんです」と戸井田さん。

不況も一方では追い風になった。「節約も我慢の限界を迎え、人々の“何かを買いたい欲求”は高まっている。ホームベーカリーは生活必需品ではないが前述のような大義名分があり、無駄遣いにはならない。購買欲を満たすのに最適だったのでは」(戸井田さん)。

わざわざ米粉を購入するのではなく、身近な米粒がそのまま使えることも大きい。「炊飯器チームのアドバイスにより、米をふやかしてペースト状に加工することで実現しました。米粒だと、米粉に比べてパン作りにかかる材料費もぐんと安くすみます」(寺嶋さん)。

たかがホームベーカリーだが、今の時代への不安や不満を解消してくれる商品とも言い換えられそうだ。ヒットは、必然なのかもしれない。