アナロジーから生まれた「家族割引サービス」

ある銀行では預金量の減少に悩み、新規預金者の獲得に力を入れていたが、あまり成果は芳しくなかった。とりわけ若年層の新規開拓に注力し、キャラクターの使用やネットバンクの開設などに取り組んでいたものの、この層に対する競争力は競合に比して強くなかった。

そうした状況のなか、プロジェクトの依頼を受けたわれわれは現状分析に着手した。まず、預金者の世代別預金量を横軸に取り、預金額の大口・中口・小口別を縦軸に取ったグラフを作成した。

このグラフを時系列でつくって比較すると、高齢者層の大口預金者の面積(預金量×預金者数)が減少の一途をたどっているとわかった。そこで高齢者層の解約率を算出し、このトレンドが続くと将来どうなるかを見るシナリオをつくると、数年後にはかなり深刻な状況に陥ることが予想されたのである。

これらを踏まえ、預金量の減少を食い止める施策として、若年層の新規獲得を増やすか、高齢者層の解約を防止するという2案が挙がった。

そこで、(1)新規預金者を獲得するためのマーケティング費用と経済効果、(2)解約防止にかかる費用と経済効果を比較。その結果、優先して取り組むべきは、従来力を入れてきた前者ではなく、後者だと結論付けた。