安倍晋三が何もやってこなかったこの1カ月間

経済活動再開に向けて、日本政府がほとんど何もしてこなかった1カ月間。それが4月7日~5月6日までの安倍政権の緊急事態宣言期間だったと言って良いだろう。

ラッシュアワーの有名な渋谷交差点の訪問者が少ない
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5月4日に行われた安倍首相による緊急事態宣言延長の記者会見の内容は驚くべきものだった。一体何に驚かされたかというと、緊急事態宣言の解除後に国民が日常に復帰していくための諸施策が5月中に作られるというものだったからだ。

たとえば、安倍晋三首相は5月4日から2週間を目途として各種業態ごとに専門家と協力して事業活動を再開するための詳細な感染予防ガイドラインを策定する旨を発表した。

そもそもこのようなガイドラインは、緊急事態宣言を発出した段階ですでに策定開始していて当然のものだろう。仮に5月6日で緊急事態宣言を解除したとしても、事業者は新型コロナウイルス蔓延事例が自己の責任が及ぶ範囲内で発生した場合の風評被害・訴訟リスクを懸念し、その事業活動を安心して再開することは困難だろう。まして、これだけ政府が自粛を煽った後であるから一層リスクが高まっていることも間違いない。そのため、政府が一定の責任を引き受ける形になるガイドラインの存在は極めて有用である。