(1)変則勤務で職務を遂行できるか

その社員は、仕事量を減らした変則勤務で効果的に仕事を遂行できると思わせるだけの気力や適応力や熱意を、これまで示してきただろうか。

上司が「この部下なら大丈夫」と思う場合には、部下と一緒にその職務自体について詳しく検討しよう。変則勤務にはあまり適さない職種もある。

われわれはこの調査で、直属の部下の1人が仕事量を80%に減らすことを認めた経験のある多国籍金融機関の副頭取から話を聞いた。東南アジア4カ国のクライアント銀行との関係を担当していたこの部下は、優れた語学力を備え、新規ビジネスの開拓で見事な実績をあげていた。彼女の代わりを見つけるのは容易ではないし、しかも誰が後任になっても、クライアントと彼女のような強い絆を築くには、何カ月もかかると思われた。副頭取は当然、彼女の要望を受け入れることにした。

しかし、彼女の職務は、新規ビジネスを探すためにたびたび出張する必要のあるものだった。当然ながら、彼女の活動が20%少なくなると、それまで生み出していた新規ビジネスからの収益もそれに応じた落ち込みを見せた。のちに、自分の決定は組織の成長力と市場防衛力を低下させたと、この副頭取は述懐している。部下の要望をそのまま認めるのではなく、彼女と一緒に彼女の職務範囲を見直すべきだったと。