時代は「AKB」で動いているのだ!

国内ビール類市場は6年連続で過去最低の出荷数量だ。10年のアサヒビールの各ジャンルごとのシェアは、ビールが50.6%、発泡酒が20.4%、新ジャンルが24.4%であった。

ビール大手4社のシェア/新ジャンルは薄利!
ビール大手4社のシェア/新ジャンルは薄利!

ビール業界全体においてはビールはマイナス3.6%、発泡酒もマイナス17.7%、新ジャンルがプラス8.7%と、成長している分野は明らかに偏っている。アサヒビールに限らない動きだが、ビールと発泡酒は落ち込み、それを新ジャンルがカバーする構造が、より顕著になってきている。

それでも09年に奪われたシェアトップの座をキリンから奪還し、10年は連結売上高、純利益ともに過去最高を記録。しかし東日本大震災は、そんなムードに完全に水を差す形になった。福島工場などが被災し、第1四半期で69億円あまりの震災に伴う特別損失を計上した。

7月1日、新生アサヒビールの社長に就任したばかりの小路明善は、気負わぬ様子でこう切り出した。

「私は時代はAKBで動いていくと思っています」

その意味するところは……。

「Aは“安心安全”です。消費者の安全への意識の高まりで、よりロングセラー商品を選択する流れになっていると思います。Kは“絆”です。震災後、生活のなかで絆という意識をものすごく持つようになりました。家族でいる時間を増やしたい。仲間との絆を深めたい。仲間といる時間が増えると、結果としてコミュニケーションツールであるアルコールの消費されるシーンが増えるはずです。Bは“文化教養”です。なぜならサマータイムで会社が早く終わる。3時に終わったとしても居酒屋はやっていませんから、家に帰って本を読むか、DVDを観るか、あるいは映画館に行くか。余暇時間が増えれば、そのときにちょっと自分の好きなお酒を飲むという時間が増えていくと思っているのです。その意味においては震災があったからといって、消費財消費が減っていくトレンドにはならないのではないでしょうか」

<strong>アサヒビール社長 小路明善氏</strong>
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アサヒビール社長 小路明善氏

新社長は、自信に満ちた表情で語ってくれた。

「A」はもちろん発売24年を迎えたスーパードライを意識してのもの。

「KB」はいずれも、夏の最も身近なアルコールとしてのビールの存在が欠かせないことを確信しているのだろう。

「スーパードライというブランド資産をさらに高めたいですね。最初は鮮度軸で評価されました。2010年はマイナス2度の温度軸で評価を受けました。次は感度軸を高めたいと思っています」

と、小路は強調する。

出荷量は落ちていてもビールにおける圧倒的優位性には揺らぎがない。感度軸アップのために、福山雅治を起用したCMをスタートさせた。ビール界のトップブランドは「自分の敵は自分」とばかりに、さらなる高みを目指して、自己革新を続けているように見える。

2010年好評をもって受け入れられ、売り上げ減に歯止めをかける起爆剤となった氷点下のビール「スーパードライ エクストラコールド」は、攻勢を強めている。今年は全国の飲食店に新たに1000台の導入をもくろんでいる。