<遺体のまま「陸路」で移動する場合>

遺体をいったんは自宅に帰してあげたい場合は、遺体のまま搬送することになる。搬送を依頼する葬儀業者に葬儀も併せて頼んだほうが、人件費などの諸費用が節約されるため、長距離でも往復してくれる居住地付近の業者を探したい。それが難しい場合は、現地の業者を手配する。

費用は、距離メーターや高速道路使用料金等の交通費に加え、遺体の移動や保全のためのドライアイス処置に同行する人件費2人分と防水シーツなどの諸雑費がかかり、距離500キロであれば約25万円~。警察からの引き取りに棺が必要な場合は、プラス7万~10万円を見ておく必要がある。

<遺体のまま「空路」で移動する場合>

陸路と空路の一番の違いは、死亡地から送り出す葬儀業者と、地元で引き取る業者の2社を手配し、連携を取ってもらわなければならないことだ。飛行機には貨物扱いで乗せられるため、輸送に耐えうる梱包と航空会社への申請、そして空港までの搬送を死亡地の業者に依頼し、同時に移動先の空港から自宅などへの搬送や安置を地元の業者に依頼する。この2社で連絡を取り合ってもらい、細かな手順が決定する。さらに途中で経由地をはさむ場合は、もう1社必要となるが、最初の二社のどちらかに紹介してもらうといい。

費用は、輸送用の特殊な棺一式と遺体保全のためのドライアイス、梱包をするための諸費用に、飛行機の輸送代「重さ(棺一式と遺体で約100キロ前後)×400円前後」を加算、距離1000キロであれば約25万円~が目安。これに2つの空港絡みの搬送費用が別途かかる。結局、搬送距離が500キロ超の場合は、空路のほうが割安になる場合が多そうだ。

なお、まれに自家用車で搬送しようとするケースもある。法律上は可能であるが、遺体の保全状況を考えると、決してお勧めはできない。