さまざまな事情で「家では仕事ができない」という人がいる。しかしカフェなどは感染リスクが高い。どんな場所で仕事をすればいいのか。緊急事態宣言が出る前の3月中旬、経営コンサルタントの竹内謙礼氏は「意外な個室」を見つけた。その場所とは——。

※本稿は、3月16日~31日に取材をしたものです。取材内容は当時の状況に基づいています。

キッチンで頭を抱える父親と、その膝の上でくつろぐ娘
写真=iStock.com/Geber86
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テレワーク民が流れ込んでいた

外出自粛要請が出る前の3月中旬頃の話である。

打ち合わせの合間にコワーキングスペースを利用しようとした際、ふと「大丈夫か?」という思いがよぎった。

世の中は新型コロナウイルスの影響で、テレワークを行っている企業が多い。会社に出社できず、コワーキングスペースで仕事をしている人が増えているのではないかと思い、気になってフリーランスの知人に連絡を入れてみた。

「いつもより混んでますよ」

予想通りの回答だった。

「カフェだと電源があるかどうか分からないし、長居もできませんからね。今は図書館も利用できませんから、溢れた人たちがコワーキングスペースに流れてきていますよ」

学校も休校中なので、自宅だと仕事が手につかない人も多いだろう。一人暮らしでも机とイスが小さすぎて長時間のデスクワークに耐えられない人もいるはずだ。環境の整ったコワーキングスペースにビジネスパーソンが集まるのは致し方ないといえる。

利用条件や立地にもよるが、1カ月間のコワーキングスペースの利用料金は会員になればだいたい1万円前後である。20日間の利用だと1日500円。カフェよりもリーズナブルだ。しかし、知人は今の状況に少し困惑している様子だった。

「これだけ混むと……ちょっと気になっちゃいますよね」

知人が言いたいのは感染のリスクなのだろう。厚生省が掲げる「3密」(密閉、密集、密接)を考えると、混み合ったコワーキングスペースは、やはり警戒心が生まれてしまう。