新型コロナウイルスの感染拡大で、在宅勤務に切り替える人が増えている。産業医で精神科医の渡辺佐知子さんは「私の実感では約7割はスムーズに移行できていますが、3割は在宅勤務でストレスが増えています。特に“バリキャリ”の子育て女性はメンタルを崩しがちで、注意が必要です」という——。
自宅勤務する男性
写真=iStock.com/kohei_hara
※写真はイメージです

「狭い部屋にひとりぼっち」「自分もコロナ感染するのかな……」

「家ではオン・オフの切り替えができない」
「狭い賃貸マンションにずっとひとりぼっちなのがつらい」
「オフィスにいたら、仕事で懸案事項があっても上司などに直接相談すればいいけど、チャットだと細かいニュアンスが伝えづらい……」

新型コロナウイルス感染拡大を受け、リモートワークをする人が増えている。それに伴い、家に閉じ込められ鬱々うつうつとした気分だとため息をつく人も増えている。

オフィスでは時々、仕事の手を休めて職場の仲間と雑談して息抜きできるが、それもできない。自宅のテレビをつければ、コロナ情報の嵐。自分も感染するかもしれないという恐怖心に加え、仕事環境が激変して困惑しているという読者も多いのではないか。ネット上では「コロナ鬱」という言葉も見かける。

主に働く世代のメンタルヘルスを専門にしている精神科医の渡辺佐知子さんはこう語る。

「産業医現場の実感として、『リモートワークにフィット』にできた方が7割。世界的危機にも負けず、オンライン効率化を加速させてうまく乗り越えています。しかし残りの3割の方は仕事もプライベートも崩壊して苦しんでいるようです」

リモートワークなら、コロナ感染のリスクを抑えられ、通勤時間のストレスもない。会議もビデオチャットで済ませられ、また、ビデオチャットで「オンライン飲み会」をすればストレスも発散できる。

「もともと低血圧、自己免疫疾患(ステロイド内服中)などの持病がある場合は、在宅勤務になったことでのびのび働けるようになり、症状が軽快(*)したという人も少なくありません」(渡辺さん)

*いまだ治癒には至らないが、入院時より症状が好転

テレビ会議が日に3本、「自宅でも残業」してしまう人々

しかし、渡辺さんのもとには次のような声も届いている。

「在宅勤務でテレビ会議する際、“画像OFF・音声のみ”の設定の人が多いチームだと、表情が読み取れずコミュニケーションに不安を感じた。社内の会議でこの意見が多かった」
「ソフトウエア開発などのチームが使う会社のパソコンは持ち帰りができないので、出社しないと仕事にならない。午前リモート、午後出社としているがメリットは少ない」
「在宅でのテレビ会議が午前中に3つも入ると、もう自分の作業は何もできない。気付くと自宅で残業することになっていた」

こうした、仕事環境の変化による働きづらさが原因のストレスが今後も積み重っていくと、イライラがもとで家族間のトラブルになったり、心身が不調になったりするリスクもある。