『手本とすべきロールモデルがいない彼らは不安だと思いますよ』

ふじわら・かずひろ●大阪府知事特別顧問。1955年生まれ。78年、東京大学経済学部卒業後、リクルート入社。東京営業統括部長などを経て、同社フェロー。2003年杉並区立和田中学校校長に就任。08年退職後、現職。
藤原和博●ふじわら・かずひろ 大阪府知事特別顧問。1955年生まれ。78年、東京大学経済学部卒業後、リクルート入社。東京営業統括部長などを経て、同社フェロー。2003年杉並区立和田中学校校長に就任。08年退職後、現職。

著者は20代から30代前半の若い世代をこう思いやる。

「30前後の年代は、仕事に加えて、結婚や子供など、考え、悩むことが増えてくる。しかし彼らの中には上司がさびついているように見える人も多いのではないでしょうか。そうならないためには戦略が必要です」

これをやっておけばとりあえず安泰、という方法論がない世代は、どのように自分の将来を切り開けばいいのだろうか。

「どこかに正解があると考えること自体が間違い。無難な前例主義から外れる勇気を持つことが大切です」

例えば、日常でもサプライズの積み重ねが重要、と言う。

「結婚式にどんな恰好で行くか。無難な黒のスーツに白のネクタイで行くようでは、そのうち挨拶なんかも無難になって、さびた人になってしまう危険性は大です。そこで自分なりの色のネクタイをしめれるかどうかは一つの分かれ道です。

そして式のテーブルで隣に魅力的な異性がいるときどうするか。会社の名刺を出すようでは、やはりさびる可能性が高い。名刺ではなく、自分のキャラで勝負すべきです。私は今は名刺は使わず、パーティなどでは勘亭流文字の自分の名前のシールの裏に、メールアドレスを書いて渡しています。

サプライズの蓄積は、やがて信認になる。公私問わず信認を得たほうがチャンスも選択の幅も広がり、さびない生き方につながるのです」

サプライズの重要性の根底にあるのは、前例主義、正解主義、パターン認識を三大悪、とする考え方だ。

「みんなが行くからとりあえず安心、なんて考え方からはすぐに脱却するべきです。

分かれ道があって右側にリンゴの木が見えている。みんなは当たり前のように右に行くから右を選べば安心ですが、分け前は確実に少なくなる。

そこで左を選ぶ勇気と洞察力を持てるかどうか。左側にもリンゴがなっている可能性は低くないわけです。左を選べれば、さびない人になれる可能性は高い」

リンゴの話などユニークな例をちりばめ、混迷の時代をさびずに生き抜く知恵が詰まった本書。30代までの若い世代だけでなく、すでにさびつき始めているかもしれない40代以上のビジネスマンも自省を込めて読んでみてはいかがだろうか。