Tカードは利用場面が多いので、アクティブユーザーが多いことが特徴です。例えばTカードを提示するとTポイントが買い物100円ごとに一ポイント貯まります。

世の中にはたくさんのポイントカードがあり、そのお店でしか使えないカードが多いですが、TカードはDVDレンタルだけでなく、食事やコンビニでの買い物等、いろいろな生活シーンで使えるから利用が増えているのです。

でも、こうした新しい企画って、実現するまでは形が見えない。企画会社は形の見えないものを人に売らなくてはならないんです。そして、形の見えない、コンセプトの説明が必要な商品についてはトップ営業が大切。相手に社長としての信用を提示して営業しなくてはならない。今の時代、モノを売るのに営業スキルはあまり役立たないと思うんです。大事なのは信用。会社の信用であり、個人の信用。『あいつが言うんだから買ってみよう』と思ってもらえるかどうかが勝負。でも、人間性って初対面じゃわからないでしょう。だから、その人の持っている社長、部長といった肩書が信用を補完することになる。だから、これからはトップ営業の時代ですよ。経営者は会社に巣ごもりしていたらダメ。

昨年、日本映画の興行収入が洋画を上回りました。レンタルDVDを見ても、ハリウッドの洋画より、『篤姫』のような時代劇、邦画、韓流が元気です。私は思うのですが、人々はハリウッド映画に投影されているアメリカの世界観、つまり資本主義をベースにした生き方に疑問を感じているんじゃないでしょうか。それで邦画に関心が向いている。邦画に表れている世界観とは『利他の生き方』です。おれがおれがという資本主義的生き方でなく、『人を大事にして生きていこう』というもの。ですから、これからは利他の生き方がキーワードになる。だって、エコというのも利他の一種でしょう。私の毎日は映画、音楽、書籍といった世界観やライフスタイルを表現するメディアとつきあうことです。そうした表現物につねに接しているから世の中の空気がつかめるのかもしれません」

(若杉憲司=撮影)