短期の成果を重視する強いバイアスが市場にあるなかで、どのようにして長期的視野に立てばよいのでしょう。ウェイン・アバーナシー(ワシントン)


 

答えを一言で言うと、マネジメントです。つまり、四半期の成果を求める圧力と、儲かる未来を築く必要性の両方に応えることが、優れた経営者の仕事だということです。

失礼な言い方で申し訳ありませんが、私たちはこの質問を受けるたびに「この人は自分が何のために雇われていると思っているのだろう」と苛立ちを覚えます。あなたは両立しがたい矛盾と格闘するため、そしてその矛盾を全力で押さえ込むために、しかもそれを何度も何度も続けていくために雇われているのです。

はっきり言って、短期的経営は誰にでもできます。ひたすらコストを絞ればいいのです。これ以上絞れないというところまで。また、長期的経営も誰にでもできます。「辛抱強く待っていてください。われわれの戦略がそのうち成果をあげますから」と、言い続ければいいのです。

リーダーの証しは、両方を同時に行う精密さとビジョンと勇気を備えていることです。

短期と長期の両立が求められる代表的な分野、人材のマネジメントを例にとってみましょう。もちろん経営者は、チームに刺激を与えてただちに成果をあげることを望んでいます。それは、インセンティブや褒賞、明確な目標、勝利に対する経営者自身の姿勢によって実現できます。

しかし、経営者は社員の育成についても常に考えていなければなりません。彼らを社内の訓練プログラムや社外の講座に参加させ、多様な経験や能力の向上につながる任務を与え、リスクをとることを奨励しなければなりません。それらの活動はただちに成果をもたらすことはないかもしれませんが、絶対に行わなければいけない将来への投資です。

研究開発のマネジメントについても同じことが言えます。既存の製品を改良・拡大するプロジェクトには、当然、資金を割り当てなければなりません。それは通常、使いがいのある資金であり、比較的迅速に確実なリターンをもたらします。しかし、成果が出るのに数年かかるような研究にも、予算を一部割り振る必要があります。では、それぞれの投資項目にいくら割り当てるべきか。それをリーダーであるあなたが判断するのです。

マネジメント上の最もよくある両立の問題は、おそらく広告宣伝に関わるものでしょう。

経営者は安易な方法をとって、電話1本で宣伝予算を20%ないし50%減らすこともできます。そうすれば、1~2四半期は売り上げに影響もなく、制度や人の面で血を流すこともなく、節約分をそのまま利益に計上できます。しかし、市場シェアやブランドに対する長期的な打撃はどうか。それを判断するのは最終決定者であるあなたです。

仕事には日に何十もの決断が必要ですが、あなたの決断はその究極のものです。経営者であるかぎり、あなたはその決断を下し続けなければならないのです。