2006年、夏の甲子園決勝戦のあの激闘は高校野球ファンのみならず、多くの国民が鮮明に覚えているはずだ。早稲田実業と駒大苫小牧との決勝戦は、1日では決着がつかず、2日間で計24イニング、試合時間は5時間33分に及んだ。まさに死闘と呼ぶにふさわしいこの試合でマウンドに上がったのが現在もプロ野球とメジャーリーグでそれぞれ活躍している斎藤佑樹投手(日本ハムファイターズ)と田中将大投手(ニューヨーク・ヤンキース)だ。楽天の監督時代に田中選手をドラフト1位で指名した故・野村克也氏は生前、高校野球時代の2人の印象と選手としての今後の可能性について語っていた。

斎藤佑樹は甲子園で完成していた

斎藤佑樹はマー君とよく比較されたわね。2人が直接対決した甲子園の試合は実際に見たよ。今でもよく覚えているね。

マー君はメジャーに行くことを教えてくれなかった。
マー君はメジャーに行くことを教えてくれなかった。

俺はマー君を推薦したんだよ。斎藤佑樹は伸びしろが見えなかったから。甲子園の段階ですでに完成されたピッチャーやったなあれは。ピッチングの内容を見てれば一目瞭然。なんでわかったかって? それが専門家というんじゃないの。専門家の目だよ。

一方、マー君はまだこれから伸びていく要素がたくさんあった。甲子園での投球は、まだまだ未完成というか、荒っぽい印象だったね。プロ野球で経験を積んでいけば良くなるんじゃないかというふうに、俺の目には映った。だからドラフト会議ではマー君を1位で指名するように推薦したんだよ。斎藤佑樹は早稲田大学に進学したけれど、仮にプロに進んでいても採らなかっただろうね。