ただ、中長期的に見れば、現在の1ドル=82~85円レベルは、言うなれば「外貨のバーゲンセール」だ。今後、日本の財政赤字が深刻化することを想定すると、円高が永遠に続くとは思えない。

今年に入って、日本のレバレッジ規制の影響から、海外のFX会社やファンド会社に口座を開設する個人が増えている。日本国内にある資金を海外にシフトさせる動きがより活発化すれば、円はいずれ大きく売り込まれるだろう。大幅な円安によって生じるインフレリスクを考えると、今のうちに資産の一部を外貨に切り替えておくのは、賢明な判断といえるだろう。

FXは短期トレードの代表選手とみなされてきたが、為替手数料などの取引コストが安いこと、外貨買いによる金利相当分(スワップ金利)が外貨預金などに比べて相対的に高くなることを考えると、FXで外貨を買うメリットは十分ある。ただし中長期投資のためにFXを活用するならば、レバレッジはそう高くする必要はない。1ドル=100円台に向かって円安が進むとすれば、レバレッジをかけなかったとしても、十分に為替差益を享受できる。

仮に証拠金10万円で2倍のレバレッジをかければ、1ドル=84円が100円になった時点の利益率は38%で10万円が13万8000円となる。逆に1ドル=63円近辺まで円高が進んでも、損失額は5万円で済む。リスクを抑えて中長期的な円安を狙うなら、レバレッジ2倍程度のFXで外貨投資するというのは、悪い話ではない。