2011年1月19日(水)

経営者と指揮者のグローバリゼーション

私が選ぶこの10冊【8.国際経営】

PRESIDENT 2009年10月5日号

著者
新貝 康司 しんがい・こうじ
JT取締役 JTI副CEO兼最高財務責任者

新貝 康司

日本最大の買収金額2兆2500億円の「ギャラハー」買収を実現させたM&A、財務のプロ。

JT取締役 JTI副CEO兼最高財務責任者 新貝康司 構成=鈴木 工 撮影=的野弘路、永井 浩

大学院で電子工学を専攻し入社したが、ビジネスに携わりたいとの思いがあり、ビジネスの知識・知恵を身につけ、かつ自分の基軸を構築するために読書にいそしんだ。読書は疑似体験であり、その後、財務の責任者を任されたときも、書物から大いに学んだ。心がけていたのは、まず本を読んで、全体像をつかむこと。次に自分のインデックスとして、その本に掲載されている参考文献や引用文献から、興味のある本を選び、原典にあたっていった。最も役に立った書物は、『二十世紀から何を学ぶか』。同書の膨大な文献リストは、現代の「知」の集積だ。

グローバリゼーションを考えるにあたっては、世界の潮流にドイツがどう対処すべきかを説いた『グローバリゼーションの時代』も勧めたい。1998年の出版ながら、その後に起きた危機への警鐘を鳴らしている。現代のグローバリゼーションの本質を平易に説明しており、読みやすい。

また経営者に近いポジションである指揮者、そしてオーケストラを描いた『ウィーン・フィル 音と響きの秘密』は、音楽でも経営でも、いかにグローバリゼーションとせめぎ合っていくべきかを示唆する一冊だ。

財務を手がけるうえで、リスクとのつき合い方について参考になったのは、『リスクに挑む』。金融危機の引き金となった、サブプライムローンを組み込んだ債権購入者の多くが、自分が何に投資しているかを把握していなかった。その恐ろしさが、理解できる。

1 二十世紀から何を学ぶか(上)(下)/寺島実郎
 2 グローバリゼーションの時代/ヘルムート・シュミット
 3 ウィーン・フィル 音と響きの秘密/中野 雄
 4 リスクに挑む/福間年勝
 5 ビジョナリーカンパニー2/ジェームズ・C・コリンズ
 6 トウ小平秘録(上)(下)/伊藤 正
 7 ストラテジックマインド/大前研一
 8 イノベーションの本質/野中郁次郎、勝見 明
 9 生きる意味/上田紀行
 10 企業価値評価(上)(下)/本田桂子他訳

『ストラテジック・マインド』(プレジデント社)
ストラテジック・マインド

[著] 大前 研一   [翻訳]田口 統吾,湯沢 章伍

21世紀の今ならば、日本のビジネスパーソンは「マインドセット」「ディープスマート」という言葉を知っている。スキルと合理性を極めるだけではビジネスの世界で勝者となることはできないと知っている。真に必要なものは洞察する力なのだ――と。その重要性を25年も前に世界に向けて提唱したのが、本書である。

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