世界的な金融危機に伴い、負債を抱えた新興財閥に、国の資金を注入した露・プーチン政権。資金の割り振りは「プーチンのリスト」によって選別され、結果的に国家が産業界を取り込んでいった。こうした動きは新興国に見られ、市場経済を推し進めつつ、国家が市場を統制する「国家資本主義」として広がりつつある。

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国家資本主義には2つの側面がある。一つは、国有部門の比重や民間企業に対する国家の統制が大きいことであり、もう一つは独裁政権を含む「強い国家」の存在と民主主義の制限だ。銀行を国有化し、融資を通じて民間企業を政府の戦略路線に乗せる手法を使った朴正煕元大統領政権下の韓国がその一例である。

福井県立大学経済学部教授の坂田幹男氏は、「国家資本主義はキャッチアップ型の工業化に成功したシステムで、その原型は戦前の日本にあり、戦後NIES(アジアを中心とした新興工業国)が引き継いだ」と指摘する。

その後、韓国や台湾などは民主主義の発展により変貌をとげ、今日では中国の「社会主義市場経済」が国家資本主義の典型となった。この新たな潮流に対して、ユーラシア・グループ代表のイアン・ブレマー氏は雑誌のインタビューで「(企業が利益の最大化を目的に行動する)自由主義経済と(自国と政権の安定を目的とする)国家資本主義という本質的に異なる2つの文化がいま衝突しようとしている」とし、グーグルと中国政府の摩擦がその一例だと言及した。国家資本主義国の台頭により、軋轢はますます深まるだろう。