ただし、前述したように数多く採用すれば成功するわけではない。同社が実践しているのは、(1)積極的に優秀な人材を獲得する(2)採用後はしっかりとした教育・育成プログラムを提供し、長く働き続けてくれるように引き留めておく(3)必要なときにリーダーシップに充てられるパイプラインを構築する――というプロセスである。

とくに(3)は組織の意思決定をなす重要なポストに満遍なく配置されていることを意味する。社員に女性は多いが、幹部は少ないといった組織ではダイバーシティマネジメントは成立しないし、ひいてはビジネスに結びつかないという認識がある。

このプロセスの実現が、世界の各ビジネストップに課せられた重要な役割であり、アンソニー・カーターCDOと連携しながら推進する。また、カーター氏はJ&Jの会長(CEO)の直属の部下として進捗状況のレポートを提出している。

たとえば現在の女性の登用に関する実績を示そう。J&Jの経営執行委員会(エグゼクティブコミッティー)のメンバーは95年には女性は1人もいなかったが、現在は8人中3人いる。またバイスプレジデント以上の役職者は95年の44人から214人、ディレクター以上は317人から1500人に増加している。日本企業をはるかに凌駕する数字である。