フレームワークにはデメリットもある

フレームワークにはデメリットもある

会議に向けて、資料づくりなどの事前準備をどこまで行うかも、主催者にとっては悩ましい問題です。しかし、それは会議の目的次第。

収束系の会議で特定の方向に意見をまとめたいなら、叩き台づくりは必須です。落としどころを想定した叩き台をあらかじめ用意して、「反対意見があればどうぞ」という形で進めれば、主催者の望む方向へと会議をうまく導けるはずです。

ただし、落としどころをあからさまに示した叩き台は、出席者の参画感を削いでしまうというデメリットがあります。出席者に当事者意識を持ってもらいたいなら、たとえば3Cなどの枠だけを書いた資料を作成して、空欄のまま配布するといいでしょう。これを埋めていくような形で会議を進めると、出席者の参画感をある程度キープしたまま主催者が収束させたい方向に会議を誘導できます。

じつはフレームワークを使うことによるデメリットもあります。たとえば、発散系の会議で用いるのはむしろ逆効果。枠だけつくり、空欄のまま資料を配ったとしても、枠が足かせとなって出席者の視野を狭めることになるからです。発散系会議の準備は、意見の幅をどれだけ広げるか、どのタイミングで収束に転じるかという大まかなプランニングだけで十分です。事前資料をつくりこむより、白紙に近い状態で臨むほうが効果的といえるでしょう。

特定の方向に意見をまとめたい会議で、もし何らかの事前資料を配るとしても、数十枚に及ぶような力作は不要です。きちんと資料を読んでから出席してくれる人は、10人中1人か2人ではないでしょうか。そう考えると、事前資料のつくりこみは割に合わない作業といえます。

出席者に「事前に教えておいてくれたら、もっといいアイデアを出せたのに」と言い訳をさせないために資料を配るケースもありますが、その場合も、目的と議題を2~3枚にまとめる程度でいい。情報量を絞り込んだほうが、資料作成の負担を減らせるだけでなく、出席者も目を通しやすいと思います。

(構成=村上 敬)