台湾、モンゴル、カンボジアにも注目

中国以外の国で注目しているのは、台湾、カンボジア、モンゴルといったところです。3年前、車で世界一周の旅をしたとき、これらの国を訪れました。どの国も過去に比べ、非常に平和でいい状態にありました。逆に資本主義が行き届かないインドや政治的に不安定なロシアに投資しようとは思いません。

日本は健闘していると思いますが、環境の変化に適応していかなくてはなりません。70年代、日本メーカーのほとんどは米国と取引していましたが、現在はアジア諸国が中心で、工場も海外に移転している。成熟国家として、輸出産業に依存し続けていては厳しいでしょう。

さらに深刻な問題は、少子化です。政府の政策は目立った効果をあげておりませんし、子供が増えないなら、移民を受け入れるしかありません。そしてもう一つの問題は巨額の財政赤字です。このまま手を打たずにいれば、今のティーンエージャーが40歳になった頃、日本は大変な事態に直面するでしょう。私が今10歳の日本人であったら、怒って革命でも起こすかもしれませんね(笑)。

私も若い頃、子供はお金と時間の無駄だと考えていましたが、それが完全に間違いだったとわかりました。2人の娘は本当に可愛く、24時間一緒にいたいと思います。中国人ベビーシッターをつけて、中国語を話せるように教育しています。中国の時代がやってくる今、それが親として最良の教育だと思うからです。

娘たちにMBAを取らせようとは思いません。これからお金持ちになるためには、農業学、鉱山学といった学問がより大切になってくるでしょう。不動産を買うのなら、農園のほうがいいと思います。

2、3年後に、かつての第二次世界大戦よりひどい状況になる可能性も否めません。今回は金融危機で終わるのか、それとも世界の終わりがくるか。私にとって、世界の終わりとは自分自身が破産することなのですけれどね。

しかし、過去の歴史や哲学から学び、自分の目で現実を確かめ、次に起こりくることを予測し、準備しておけば生き延びることができるはず。世界大恐慌後の1930年にも、多くの人々は新たなビジネスを立ち上げましたし、日本も例外ではありませんでした。もちろん戦争のせいで一度だめになりましたが、戦後、見事に立ち上がったのですから。

(木下明子=構成 Paul Goh=撮影)
【関連記事】
ジム・ロジャーズ -次の急成長分野を先に知るには
中国における最大のリスクとは
世界の大金持ちは、どんな金融商品を選ぶのか
「少子高齢化・財政赤字」投資対象としての日本
「4200%の男」ジム・ロジャーズのマネー哲学【1】