そのためのインフラ整備にいち早く取り組んだのがイオンだ。この10年でIT・物流システムに約700億円を投じ、自社の店舗展開に合わせた仕組みを整えた。全国に配置した基幹物流センターと、クロスドックセンター(通過型物流センター)からなる物流体制も整備された。

「商品を受け入れ、備蓄する自前の物流システムと、製造の状況、在庫をリアルタイムで把握できる情報システム、その2つのインフラを整えて、はじめてコストを構造的に下げることができる」(同)

大規模商業施設を全国に展開しているイオンは、資本業務提携を繰り返し、現在、グループ全体で平日400万人、週末には1000万人もの客が来店する。ダイエーやマルエツ、系列ドラッグストアでのPB販売も始まった。今後も提携店を増やし、マスのメリットの追求に努める。ロットをまとめられるので、イオンではNBより原価率が平均10%低い。

CGCも同様だ。この1年で、他のボランタリーチェーンに加盟するスーパーで、CGCへと鞍替えするという企業が増えている。そのなかのひとつが遠鉄ストア(静岡県)である。08年3月より、それまで加盟していた八社会(関東大手私鉄系スーパーマーケットが共同で設立した、PBの企画・開発を手がける会社)を脱退し、CGCに参入したが、その理由は、八社会よりCGCのほうが仕入れ規模が大きく、「Vマーク」(八社会のPB)より「CGC」PBのほうが、店頭価格が平均して1割ほど安くなるからだ。このように大きな組織には規模のメリットがあるため、ますます提携・参加企業が増えていくという好循環だ。

「このままいくと、イオンまたはCGCに参入しなければ小売りは生き残れないという事態が起きないとは言いきれない」と鈴木氏。PBをきっかけに、業界の再編淘汰は加速がついたようだ。