「うちのギャラリーには王女様からフリーターまでやって来ます」

先日、パーティーでお会いしたギャラリストから興味深い話を聞きました。そのギャラリーでは、最近、ある国の王女様が作品を購入したそうです。届け先の通りには王女様の名前が付いていたとのこと。面白いですね。

このように、現代アートのギャラリーは、あらゆる年齢とあらゆる立場の人々が訪れる、ある意味でたいへん「敷居の低い」場所なのです。今回はこのギャラリーのお話をしたいと思います。

今年11月に開催された、写真専門のアートフェア「PARIS PHOTO 2008」の会場風景。こうしたフェアに所属のアーティストの作品を出展するのもギャラリーの大事な仕事。
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今年11月に開催された、写真専門のアートフェア「PARIS PHOTO 2008」の会場風景。こうしたフェアに所属のアーティストの作品を出展するのもギャラリーの大事な仕事。

ギャラリーに行くと、作品名の書かれているキャプションに赤印や青印が付けられていることがあります。赤は売約済み、青は検討中の意味です。青の場合は他のお客様が検討中ですので、買いたいという申し出をした場合はその方と連絡して確認をする必要が出てきます。もしもその方が買うという場合は、そちらの方を優先します。支払方法も、現金、カード、分割払いなどいろいろな方法があります。

私がまだ駆け出しの頃、どうしても欲しい作品があったのですが、予算オーバーでした。そこでギャラリーの方に相談し、分割支払いで、毎月数万円ずつ入金することを認めてもらいました。ギャラリーは異なる作家の一点一点違う作品を扱っていますから、購入方法についても作品ごと、お客さんごとに柔軟に対応してくれます。

ギャラリーに通ううちに、アーティストと面識ができることもあります。ときには一緒に食事をしたり、お酒を飲んだりすることも。ゴッホやゴーギャン、モネやピカソはもう会うことは出来ませんが、生きているアーティストならば、会えますよね。今では大スターのダミアン・ハーストに私が会ったのは95年のロンドンのホワイトキューブギャラリーです。また鉄の彫刻で知られるリチャード・セラに会ったのは96年のニューヨークのあるギャラリーでした。

ギャラリーの仕事とはどういうものでしょうか。まず、所属するアーティストのマネジメントが大きな仕事です。作品を制作する環境を整え、新作をコンスタントに制作してもらいます。アーティストと一緒に作品の価格を決め、世界へ向けてプロモーションします。そのためにアーティストの作品やコンセプトを解りやすく解説したカタログを作り、マスコミの取材を積極的に受けます。また、海外のアートフェアに出展して、そのアーティストを売り出したりもします。大事なポイントは、アーティストが徐々に多くの人に知られ、人気者になってゆく道筋を作ることです。

国内だけではなく、世界戦略のためには海外のギャラリーと共同で1人のアーティストを売り出していくこともあります。大きな美術館での展覧会を提案し、美術館と協力して展覧会を作っていくこともやります。ギャラリーが協力すると、その顧客からの作品貸出が楽になったりするなど、美術館にとってもメリットがあります。