フェイクニュースが蔓延しているようだ

原則的に屋内禁煙が義務付けられる「改正健康増進法」の2020年施行に向けて、東京都では禁煙の波が押し寄せている。首相官邸も屋内の喫煙所は撤去された。行きつけの飲食店からも灰皿が消えていく。私のようなヘビースモーカーは肩身が狭いどころか、生命の危機を感じるレベルで追い詰められている。

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お酒が好きな人のお酒を禁止したら暴力事件が起きてしまう。しかし、タバコを禁じても暴動は起きない。お酒のほうが社会的にも損失が大きいのに、社会がお酒に寛容なのは、お酒が暴力傾向を促し、タバコが社交性を高めることと関わりがあるのではないだろうか。お酒好きの声が大きすぎる半面、タバコ好きは自身への迫害に対して寛容すぎる。

日本社会の極端な喫煙バッシングの中で、逆に禁煙からビジネスチャンスが生まれる可能性もあると考えてしまう。特に飲食店経営者のみなさんには、非喫煙者をターゲットにすれば業績がアップするというフェイクニュースが蔓延しているようだ。

18年6月に業界内で先陣を切って全面禁煙に踏み切った「串カツ田中」は、禁煙化の成功事例と見られていた。加熱式も含めて全店の全席を禁煙としたことで、喫煙者の来客は減少したものの、子どもを含むタバコを吸わないファミリー客が増加するなど新たな客層を開拓できたことで業績がプラスになったと喧伝されている。

しかし、全面禁煙開始から1年が経過すると、喫煙者の店離れがじわじわと売り上げに影響を及ぼすようになってきた。店舗数が増えたことで串カツ田中チェーン全体としては増収だが、19年度の第3四半期の決算で、既存店の売上高が9カ月連続前年割れとなり、てこ入れ策は功を奏していない。11月も既存店売上高は前年同期比11.9%減と復調することはなかった。