働き方改革で長話がNGに

「説明は『速さ』で決まります。現代人は受け取る情報量がものすごく増えていて、脳の余裕がなくなってきています。そして、膨大な情報を処理する必要があるために『無駄な情報はいらない。時間をむやみに奪われたくない』という意識が芽生えます。長い説明が受け入れられる土壌はなくなっているのです」

こう話すのは、博報堂でコピーライターとして活躍する中村圭氏だ。働き方の変化も追い打ちをかける。

中村 圭●博報堂所属のコピーライター。世界最高峰の広告賞の1つカンヌ国際クリエイティビティフェスティバル金賞など受賞歴多数。著書に『説明は速さで決まる』がある。

「働き方改革が進み、どの会社でも短い時間で成果を出すように言われています。僕自身、広告会社で働いていて実感するのは、打ち合わせの時間がどんどん短くなっているということ。以前は長々と説明する余裕もあったけれど、今はもう、短くわかりやすく話さなければ、打ち合わせでも成果が残せなくなっているのです」(中村氏)

中村氏は言葉を続ける。

「プレゼンのはじめに『ポイントが3つあります』と言うのも、もはや時代と合っていません。このフレーズがすごく効率的な伝え方だと思い込み、定型句として多用しているのだと思われますが、蓋をあけてみると、その3つ目にはほぼ意味がないとか、ひどい場合は最後まで話を聞いても3つ目がわからず不明ということもある。