企業の内部留保はなぜ増え続けるのか?

2018年度の日本企業の内部留保(利益剰余金)は、財務省「法人企業統計」によれば約463兆円。7年連続で過去最高を更新しました。なぜ内部留保は増え続けるのか。その背景と問題について考えてみましょう。

「内部留保は賃金や設備投資に」と麻生財務相も言及する。(時事通信フォト=写真)

内部留保とは、簡単に言えば、当期純利益から配当を差し引いた残りの利益のことです。企業の付加価値は、売上高から仕入れによる売上原価を控除して得られる売上総利益(粗利)から減価償却費を差し引いた分がほぼ相当すると考えられます。そこから人件費(労働への分配)、銀行などへの支払利息(他人資本への分配)、法人税等(インフラを整備する政府・自治体への分配)、そして利益へと分配されます。利益はさらに配当(自己資本への分配)と留保利益(企業への分配)に分かれ、後者が内部留保に当たります。

「法人企業統計」に基づき、資本金10億円以上の約5000社の大企業(金融を除く全産業)のデータを、1971年度から経済の節目となるほぼ16年間ごとの段階に区切って分析すると、内部留保は、21世紀以降急激に増加してきたことがわかります。