現代の教育が抱える問題

今の教育は、一部の例外を除いて「正しい一つの答えに、いかに早くたどり着くか」がテーマです。単語を覚える。公式を当てはめる。その訓練を繰り返し行う。そうして、「早く、正確に、唯一つの答えにたどりつく」ことが求められます。

進学するには、テストを受験して合格しなければなりません。テストには必ず正解があります。ほとんどの場合、正解は一つです。正解が複数あって、一つは7割くらい正しそうで、もう一つは6割くらい正しそう、といった問題では採点が困難になります。ですから、ほとんどのテストで正解は一つなのです。

小論文のように一見正解がなさそうな選考であっても、テーマ設定や論理展開、書き方に「正解」のようなものがあって、予備校や塾で高得点を取る手法が教えられています。

この教育システムで、偏差値の高い学校に行こうとすると、「一つの正解に早く、正確にたどりつく」ために、学校や予備校の先生に教えてもらったやり方を身につけることが手っ取り早い。学校推薦での進学も同じです。学校内のテストで高い点数を取った人が成績優秀になり、推薦を得られるわけですから。

一つの正解への到達方法を教えてもらう。それを繰り返し鍛錬する。これが学生時代に行われている「お勉強」の実体です。「お勉強」をやり遂げた人が、その結果、成功者として最高の学歴を得ます。こうして、人生で一番の成功体験が「最高の学歴を得た」ことであり、その成功の源が「たくさんお勉強した」なんて人が生み出されるのです。

ところが実社会で「正解は一つ」なんてことは、ほとんどありません。それを勘違いして、いつまでたっても「お勉強すれば唯一つの正解にたどり着く手法が得られるのだ」と思っている人は悲劇です。