勉強することはよいことだ。だが、勉強しさえすれば必ず成功すると考えるのは間違いだ。既存の教育システムでは、勉強して高学歴を得ることを成功としてしまう。だが、実社会で「これが正解!」ということはほとんどない。「お勉強」をたくさんしても、コンサルとして成長することはできないのだ。

勉強します!に隠された罠

第1回「コンサルって専門家なの?」で、専門性を磨きさえすれば良いコンサルタントになれるという訳ではないと書きました。専門性を磨くことばかりに気を取られて、大切なものをおろそかにしている人が多いと。すると、コンサルタントになりたいと真剣に思っている読者なら、こう思うはずです。

「じゃあ、どんな勉強をすれば良いのですか?」

なるほど、当然な疑問です。でも実は、こう思ってしまうこと自体が、「お勉強の罠」に陥っているのです。「お勉強の罠」は、まじめな努力家ほど陥りがちです。今回はこの話をしましょう。

「お勉強の罠」とは?

羽物俊樹氏
羽物俊樹氏

私はこれまで数多くの採用面接を行っています。あるとき一つの事象に気がつきました。経歴書を見るととても立派で、世間的に見れば「最高の学歴」と言われる人たちに、多く出現する考え方についてです。

それは、「自分の力を伸ばすには、勉強することです」というものです。

しかもよく聞いてみると、ロジカルシンキングのような思考法やプレゼンテーションの技法などを、本やセミナーを通じて「勉強」して、コンサルタントとして「正解のスキル」を身につけますと言っているのです。

勉強熱心なことはよいことです。でも、勉強すれば自己実現できると思いこんでいることは、とても問題なのです。こういう人は往々にして、成長の壁にぶち当たった時、「自分の勉強が足りないのだ。もっと勉強しなくては」と思うのでしょう。でもいくら本を読んだりセミナーを受けたりしても、壁は破れません。まさに「お勉強の罠」に陥ってしまうのです。