2009年3月期の中間決算発表は、電機大手各社にとって軒並み厳しい結果となった。液晶テレビの国内トップであるシャープも例外ではない。同社の08年度の連結営業利益は前期比29%減の1300億円となる見通しだが、さらに下振れしそうだ。

同社は、国内携帯電話の販売台数の急減と関連部品の悪化を業績悪化の主因にあげたが、より重要なのは、これまで成長を牽引してきた液晶テレビおよび液晶パネルの収益悪化である。

上期の液晶テレビ事業は、販売台数は期初計画を上回ったが、単価下落が響き、売上高は同社初の減収を記録した。一方、液晶パネル事業は、テレビ用パネルの価格が08年3月をピークに下落、足元で需給は一気に緩んでしまった。台湾メーカーの中には、稼働率が50%を下回るケースもあり、未曾有の変化に直面している。

従来、同社の生産するテレビ用液晶パネルのほとんどは、自社製品向けであった。しかし、自社の液晶テレビの販売が欧米で伸び悩む中で亀山第2工場が本格稼働し、外販需要の開拓なくして稼働率を維持しにくい状況に至った。12年初頭には堺工場の稼働も予定され、ソニーとの協業の行方など、課題は山積みである。

同社は、12年に創業100周年を迎える。1970年、大阪・天理にICの工場を建設して以来40年間、同社は「デバイスとセットのスパイラル戦略」をビジネスモデルの基本としてきた。自社製品の販売能力を上回るデバイスの生産能力を抱えてしまった現在、その構造を変革しなければならない時期に差し掛かっている。

新しいビジネスモデルの基軸は薄膜太陽電池事業だ。従来の結晶系太陽電池に比べ変換効率は低いが、製造過程が短く、低コストである。付加価値の源泉は、CVDと呼ばれる独自開発の製造装置にあり、装置の内製により付加価値の流出を防ぐ構えだ。

さらに同社は、太陽光発電のモジュール製造だけでなく、太陽光発電のトータルソリューション企業への転換を打ち出している。プラントの建設、発電施設のメンテナンスまでを展開する方針だ。液晶事業でのリベンジを果たせるか、次の10年のシャープの太陽電池事業に期待したい。