実際、ここ数年で買収した海外企業の収益が国内大手製薬メーカーの収益に寄与しはじめている。エーザイでは米MGIファーマの2010年期純利益の貢献が100億円強と前期比倍増を見込んでいる。第一三共もインド子会社が利益貢献する見通しだ。

大手製薬メーカーはここ数年、多くの海外企業を買収、提携してきた。各社の海外戦略の成否が今後の業績を大きく左右することになる。

一方、年収を下げたのは32業界。最も下げ幅が大きかったのが76万円減で617万円の「輸送用機器」(会社数104社)。次いで72万円減で588万円の「鉄鋼」(会社数56社)、66万円減で661万円の「電気機器」(会社数293社)が続く。

リーマンショック以降、世界大不況の影響をもろに受けたのが自動車・部品メーカーだ。

「需要が蒸発した」と業界関係者が嘆くほど、各自動車メーカーの工場は生産をストップ。それに伴い部品メーカーの工場も生産中止に追い込まれるなど業界は大混乱した。

その後、追い打ちをかけるように「超円高」が襲った。雇用を守ることを創業以来の社是とするトヨタでさえ「限界を超えている」という。

生産の海外移転や部品の海外調達が進めば、国内の下請け業者は仕事を失いかねない。鉄鋼や樹脂など素材産業への影響も懸念される。

楽天、ファーストリテイリングが社内の公用語を英語にする方針を相次いで打ち出したのは記憶に新しい。

少子高齢化で縮む国内市場より海外市場を目指す。日本向け製品も海外でつくるなら、社員が日本人である必要もない。実際、パナソニックは来年度新卒採用の8割を海外で行うという。

グローバル化は世界を一つにする。しかも給料も下がる方向で平準化していく。日本人の給料はまだまだ下がり続ける可能性がある。

※すべて雑誌掲載当時