年収の高い人は、スケジュールを立てる能力や意志の力も強いようです。「1週間のうちで、その曜日にやると決めていることがある」で「あてはまる」と答えた2000万円以上の人は、500万円台に比べ、10ポイント以上も多くなっています。逆に、年収の低い人には意志の力が弱く、しかも時間の使い方がうまくないと自覚している人が多いようです(法則2)。「ついダラダラしたり、目的なく時間を過ごすことがよくある」で、「あてはまる」と答えた人は2000万円以上の人が40.4%、500万円台の人は46.2%でした(法則3)。

「残業せず仕事を持ち帰る」の結果は意外でした。2000万円以上の人のほうが持ち帰る率が高くなっています(法則4)。仕事が多すぎて、会社で終わらないのかもしれません。家でもやりたいほど仕事が好きなのかもしれません。でも考えてみれば、私も会社員時代、家でもできる仕事は会社で遅くまで残業するより持ち帰っていました。勤務先が銀行だったので、時差の関係でニューヨークやロンドン支店に夜中、電話する仕事がたびたびありました。そのためだけに居残る同僚を尻目に、6時になったらさっさと帰宅し夕飯を食べ、風呂に入って本を読み、深夜、頃合いを見計らって電話していました。会社にだらだら残るのは精神衛生上よくないし、夜遅くなれば疲れが倍加し睡眠時間も減る。生活のリズムが壊れてしまうのが嫌だったのです。

そうはいっても、「家でできる仕事は限られている。パソコンデータも持ち出し厳禁で、仕事は会社でやるしかない」とぼやく人がいるかもしれませんが、それなら、ホワイトカラーの仕事の王道である、頭で考えることを家でやればいいのです。会社で残業しない。これも立派な時間コントロールです。

ここで胸に手をあてて考えてみてください。私たちは何のために時間をコントロールするのか。「自分なりの有意義な人生を送りたい」からですね。そうなると、なければいけないのが目標です。なければ、目の前に降ってくる仕事をこなすのに精一杯となり、仕事にコントロールされる哀れな人生が待っています。そうならないためには、きちんとした長期目標を立てておく必要があります。

調査概要●ヤフーバリューインサイトの協力により、全国30歳以上60歳未満の男女、フルタイム勤務者という条件を満たす人を対象に、インターネットを通じて調査を行った。調査期間は2009年1月9~13日。個人年収500万円台500人(うち男性76.8%)、2000万円以上500人(同77.6%)より回答を得た。

(構成=荻野進介)