原因を診断し、処方箋を考えよう

パフォーマンスの低いマネジャーをどうするか、という難題を解決するためには、その前に問題の具体的内容を明確にする必要がある。まず、そのマネジャーの実績を細かく評価するところから始めよう。

「そのマネジャーは何をしていて、何をしていないか。数値目標を達成しているか。達成していないとしたら、それはなぜか」を検討せよと、リーダーシップとコミュニケーションのコンサルタントで、『How Great Leaders Get Great Results』の著者、ジョン・バルドーニは言う。

次に、360度評価の結果があれば、「同輩や上司や部下が、そのマネジャーについて何を語っているか」をじっくり検討せよ、とバルドーニはアドバイスする。それに加えて、そのマネジャーのパフォーマンスについて主な利害関係者や同僚に問い合わせることで、上司自身によるそのマネジャーの360度評価も行う必要がある。

さらに、そのマネジャー本人に、自分のパフォーマンスがなぜ不十分なのか、その理由について自分自身はどう考えているかを語らせよう。本人が挙げる理由には、当の上司からの支援の不足から、人手や予算の不足、さらには間近に迫っている離婚、高齢の親の介護、子どもの世話といった、職場の外の問題まで、さまざまなものが考えられる。

それから、能力やスキルと仕事との適合性を検討しよう。「このマネジャーは彼に適したポジションにいるだろうかと考えてみよう」と、バルドーニは言う。「この仕事をこなす能力とそれを遂行するスキルの両方を備えているかを考えるのだ。能力はコーチングでどうにかできるものではないが、スキルは高めることができる」。

バブソン大学の経営学教授で、『The Coaching Organization: A Strategy for Developing Leaders』の共著者、ジョセフ・R・ワイントローブによれば、「マネジャーのパフォーマンスの問題は、マネジャーとその上司の間に、期待していること、されていることへの共通理解が不足していることから発生する例が最も多い」。