「自民党も派閥支配が崩れてきた」との解釈は間違い

安倍晋三首相は9月11日に内閣改造を行った。注目すべきトピックスのひとつは、菅義偉官房長官に近い「隠れ菅派」が大増殖したことだった。「令和おじさん」として知名度が急上昇中の菅氏は、政府・自民党内でもその影響力を増しつつある。

新聞各紙は自民党派閥別の入閣者数を競うように載せている。細田派派3(改造前3)、麻生派3(同5)、竹下派2(同2)、岸田派2(同3)、二階派2(同2)、石破派0(同1)、石原派0(同0)、無派閥6(同2)。こうした結果から、マスコミは岸田派や石破派の冷遇をことさらに強調して報じている。

それは確かにそうだが、もっと重要なことがある。無派閥議員が6人も入閣しているのだ。

写真=時事通信フォト
記者会見する菅義偉官房長官=9月12日、首相官邸

各派閥が、横ばいもしくは減少する中で、無派閥閣僚は2人から6人と、4人も増えた。新聞ではこの理由についての丁寧な解説はみかけないので、「自民党も派閥支配が崩れてきた」と解釈する人がいるかもしれない。しかし、その解釈は間違いだ。

6人の無派閥議員とは、菅義偉官房長官。高市早苗総務相。河井克行法相、菅原一秀経産相、江藤拓農水相、そして小泉進次郎環境相だ。

菅氏は派閥に属していないが、菅氏を囲む勉強会やグループは複数あり、「隠れ菅派」の議員はトータルで50人以上と言われる。菅原、河井の両氏は、その代表格だ。