2021年春、介護現場に大きな変化が起きる。2018年に改正された介護保険法で事業所の管理者は「主任ケアマネジャー」であることが義務付けられるからだ。現在、事業所の約44%には主任ケアマネがおらず、これらの事業所はこのままだと3年後に廃業を余儀なくされる。現役のケアマネたちは、「介護難民が続出する」と危機感を強めている——。
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2年後の春、介護を受けられない介護難民が量産されるワケ

ケアマネジャー(介護支援専門員)は介護を支える専門職です。介護サービスする事業者(ホームヘルパーなど)が要介護認定を受けた高齢者宅への訪問介護をする上でなくてはならない存在です。

ケアマネジャーは担当する利用者(高齢者)の状態を見て、本人や家族から事情を聞いてケアプランを作成。それに沿った介護サービス事業者を手配し、その後も利用者の元を定期的に訪問し、相談を受け、状況に応じてサービスの見直しをするといった仕事をします。

「ケアマネジャーをわかりやすく例えれば、スポーツチームの監督のような存在です」

と説明してくれた介護サービス従事者がいました。

「スポーツチームの監督はチームを強くするための強化プランを作り、それに必要な選手やスタッフを集めます。試合ではチームを指揮し、結果が出なければ選手交代などの手を打つ。ケアマネジャーは利用者さんとその家族の介護を支えるためにチームをつくり、指揮を執るわけですから」

監督の強化プランに該当するのは、ケアプラン。選手やスタッフに当たるのは介護サービス事業者というわけです。

この監督に例えられるような重要な存在であるケアマネジャーが、数年後には大幅に不足し、誰もが介護を受けられる状態ではなくなる可能性があるのです。

原因は、2項目の介護保険法改定です。