値上げにあたっては、その理由をきちんと議論を尽くし、正規の手続きを経て決定しなければなりません。

図3:恐怖のシナリオ「修繕費はアップせず」との議決が決まったら?
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図3:恐怖のシナリオ「修繕費はアップせず」との議決が決まったら?

もし値上げが不服で裁判に訴えるとしたら、「第何回総会手続の無効確認」訴訟として、総会の出席人数が足りなかったなど、手続きに不備があったことを証明しなければならない。「自分は反対だ」というだけでは裁判には勝てないでしょう。

では、管理費等を払わなかったらどうなるか。まず管理会社から「期日までに支払ってください。払わない場合は法的な手続きをとります」という催告書が来ます。それでも払わずにいると、裁判所に支払督促申立をされます。確定すると判決と同じ効力を持つので、財産の差し押さえをされてしまいます。

マンションの管理費や修繕積立金はほかの債権より優先する「先取特権」(区分所有法7条)が認められています。ところが実際は、住宅ローンなど金融機関の抵当権のほうが先取特権より優先され、いわゆるオーバーローン(マンションの価値より抵当権設定額のほうが高い)の状態だと、先取特権の入る余地がなくなってしまう。多くのマンションは購入後、値上がりしませんから、先取特権はほとんど使えないのが実情です。

あとは滞納者の銀行口座の差し押さえや、滞納者の給料・賞与の4分の1を基本的に差し押さえられます。

※すべて雑誌掲載当時

(構成=長山清子)