※本稿は、霜田明寛『ジャニーズは努力が9割』(新潮新書)の一部を再編集したものです。

写真=iStock.com/alashi
※写真はイメージです

「話すのは正直、苦手分野なんですよ」

「個性とは、得意なものを磨くことで生まれる」と思われがちですが、苦手意識のあるところから生まれる、唯一無二の個性もあるのかもしれない——。そんなことを、ジャニーズ司会者の先駆者・中居正広の人生は教えてくれます。

史上最年少25歳での紅白歌合戦の司会者、オリンピック特番のキャスター……と、あらためて言うまでもなく、司会者として唯一無二の立ち位置をつかんだ中居正広。その司会術は天才的にすら見えるかもしれません。

しかし、中居自身は「話すのは正直、苦手分野なんですよ(※1)」「こう見えてもパッと言葉が出てくるタチではなく、記憶力も悪いのは自分でもわかっている(※2)」「器用じゃないんで、咄嗟に出てこない(※3)」と語ります。バラエティ番組でのトークは即興的なもの、という印象が強いため、どうしても先天的な才能に見えてしまいがち。ただ、中居に限っては、そうではないのです。

ジャニー喜多川も「自分で個性を作っていく」人として中居の名を挙げ、「中居君なんか、最初はものすごく二枚目というか、まじめでねえ。あそこまでしゃべれる人間でもなかったし、おとなしかった(※4)」と語ります。

現在の中居からすると隔世の感がありますが、現在の立ち位置は、デビューしてもすぐにはブレイクせず、「もうこのまま終わっちゃうんじゃないかって(※5)」不安だった中居が、10代の頃から意識的に狙い、戦略的に作り出したものなのです。まずはその戦略から見ていきましょう。