30代後半で、過労から病に倒れ長期入院を余儀なくされた際、読み漁った本の一冊である。

主人公は、東京裁判で絞首刑を宣告されたA級戦犯唯一の文官・広田弘毅。元総理であり、戦争阻止に努めた彼は、その行為を妨害し続けた軍人たちとともに処刑への道をたどることになる。しかし、裁判で反論や言い逃れを一切せず、その運命を自らのものとして従容と受け入れた。

病床で、それまでにないほど人生について真剣に考えていた私は、命尽きるまで潔癖に自分の信念を貫き続けた広田の生き様に深く感銘を受けた。無事、仕事に復帰した後、己が正しいと思った道を迷わず歩んでいく勇気をもらった本である。