それで銀行は間接金融という機能を果たしたことになるだろうか。

1990年代末、日本ではゼロ金利政策によって金利は歴史的な低水準にあった。このとき日銀は資金の供給量を増やしたが、先行きの不安感から、民間需要は増えなかった。流動性を高めても資金需要が増えない、これは「流動性の罠」といわれる現象である。

貸し剥がしが続けば、その先には銀行不信が起きかねない。いつ貸し剥がしにあうかわからない、という状況では借り入れ意欲は減退するのではないか。

しかし、在庫調整も進んでおり、第二のリーマン・ブラザーズが出なければ、今年後半から来年にかけて景気は回復に向かう可能性もある。

それまでは損益計算書の内容がよくないのも仕方がない。今できることは、バランスシート(貸借対照表)の改善だ。売れるモノは売る、無駄な資産は処分する、資産の質を上げる。状況はいつか好転する。企業経営者にとって重要なのは、生き残ることだ。パンチを受けても、リングに立っていよう。

(高橋晴美=構成 ライヴ・アート=図版作成)