私はアートプロデューサーの仕事をしておりますが、実は美大の出身ではありません。今から約20年前、ドイツのフランクフルトに住んでいました。そしてヨーロッパ諸都市の美術館やギャラリーを見て歩き、アートの面白さにのめり込んでいきました。また、ドイツにはNPOのギャラリーがあって、若いアーティスト達の情報センターとしての機能と商業的ギャラリーへデビューする前の発表の場所としても機能しているのを見て、日本でNPOギャラリーを作りたいと夢見るようになりました。

『西洋美術史』(高階秀爾著、美術出版社)
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『西洋美術史』(高階秀爾著、美術出版社)

しかし、当時の日本にはNPOギャラリーどころか、NPOの概念さえ無く、愕然とさせられました。「将来、NPOギャラリーが日本に出来る頃に、ディレクターとして立候補しよう」と考えながら、ギャラリーで働いたり、大学の先生に師事し、西洋美術史などを学んで、現在も活動を続けているところです。独学で現代アートを学んだ経験から、ビジネスマンの皆さんにも現代アート理解のためのオススメ本をご紹介したいと思います。冬休みの読書にいかがでしょうか。

まずは、美術史の本。(1)『西洋美術史』(高階秀爾著、美術出版社)は、原始美術・古代オリエント美術から始まって、近代・現代まで網羅した本。流れを把握するのにオススメです。また(2)『すぐわかる20世紀の美術』(千足伸行著、東京美術)は「わかりにくさ」を「面白さ」に変えてくれる本としてオススメです。東京美術からは他にも「よくわかるシリーズ」と「もっと知りたい」シリーズでの西洋美術&日本美術の解説書シリーズがあって、興味を持った分野を深く知りたい場合に便利です。

(3)『鑑賞のための西洋美術史入門』(視覚デザイン研究所)は、世界各地の美術館に収蔵されている名画を解説していることもあって、旅行の前に読んでおくと改めて楽しい本です。また、テレビでお馴染みの山田五郎さんの本(4)「知識ゼロからの西洋絵画入門」(山田五郎著、幻冬舎)は、読み易く中身の濃い1冊です。山田さんは評論家として知られていますが、実はオーストリア留学経験もある美術史家でもあって、解説がとてもためになる内容でありながら、楽しく読める工夫が随所に見られます。

『鑑賞のための西洋美術史入門』(視覚デザイン研究所)
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『鑑賞のための西洋美術史入門』(視覚デザイン研究所)

また、現代アートの入門書としては、絶版になっているので古書で探していただく必要がありますが(5)『わかりたいあなたのための現代美術・入門』(若林直樹、JICC出版局)があります。現在、30代のアーティスト達が学生時代にこの本を手にして「よし、自分も頑張ろう」と奮い立った本です。

また私の2冊目の本、(6)『現代アート入門の入門』(山口裕美、光文社新書)も、さらりと読めて、アーティストを応援してみたくなる内容です。

アーティストが書いた本ではずせないのが村上隆の(7)『スーパーフラット』(マドラ出版)と(8)『芸術起業論』(幻冬舎)の2冊。村上さんと親交のあるギャラリストの小山登美夫さんは、2008年相次いで本を出版されました。(9)『その絵、いくら?現代アートの相場がわかる』(講談社)、(10)『現代アートビジネス』(アスキー・メディアワークス)です。アートの値段が登場するので、作品の価格の目安になるかもしれません。