レーザーマシン1台に1億円弱かかる

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角膜にレーザーを当てて視力回復を期待する角膜屈折矯正手術、いわゆるレーシック手術は、角膜に直接コンタクトレンズのカーブをつけるようなものだ。

個人差はあれど、成功すれば一定の視力回復が期待される半面、機械が悪かったり、施術者の技術が稚拙であると、網膜に穴が開いて網膜剥離などの合併症が生じることもある。思ったように視力が回復しなかったり、手術後日光に耐えられないほどの痛みを生じたりと、様々な後遺症報告もネット上には上がっている。

そうした影響からか、一時は「奇跡の手術」ともてはやされ、雨後のタケノコのようにレーシックを行うクリニックができたものの、その後急速に失速している。

「私は医者ではないので、医学的にレーシックを判断することはできません。ただ、単純にビジネスとして儲けが出るかどうかという観点から見ていくと、これが結構難しそうだということが見えてきました」(公認会計士・税理士の柴山政行氏)

1回の手術で高額費用を請求できるレーシック手術だが、一番の問題は最初の設備投資が半端なくかかるという点だ。

「歯科医師が開業する際も同様に初期設備投資がかかるのですが、レーシックはそれ以上に高額。レーザーマシン1台に1億円弱かかるんです。どんな商売もそうですが、高額な設備投資は費用回収に時間がかかります。1億円の設備ならおよそ5年から8年で回収しなくてはなりませんが、5年で計算した場合、1年に2000万円は利益を出さなくては儲けが出ない。これはかなり高いハードルです」(同)

レーシック手術費用は様々だが、仮に両目施術で20万円だとしても、1カ月で50件は施術しないと採算が取れないことになる。