(3)長期的な重要性を強調しよう

ビジネス関係がきわめて重要な場合には、われわれはより多くの時間とエネルギーをそこに投入するだけでなく、自分自身のことを相手により深く知ってもらうことも必要だ。相手と個人レベルで知り合いになることで、あなたは社会的資本──長い付き合いのなかで引き出して使える好意や信頼──を築くことができる。ビジネスランチのようななんの変哲もないものでも、何かの問題で「これ以上は譲れない」と主張したとき、相手がその言葉を信用してくれる確率を高めることができる。

(4)相手を信じる

新しい戦略的パートナーの代表者が、重要な納期に間に合わせられないとか、もっと高い価格でなければ契約できないなどと主張したら、「相手はこちらを操ろうとしている」と決めつけたくなるかもしれない。その結果、あなたは自分の立場を絶対に譲るまいとし、ますます強硬になる。「相手は交渉を左右する力を不当に握ろうとしている」と思ったら、あなたはおそらく過剰に反応して、対立が拡大することになるだろう。

むしろ、戦略的パートナーが特別な要求を出してきたら、疑わしいと思っても信じてみよう。相手の言葉を額面どおりに受け取って、自社に損害を与えずに相手の問題を解決する方法はないかと考えてみよう。相手の要求を真剣に受け取っている様子を見せれば、不要な恨みを買わずに関係を維持することができる。

V社とB社の隠れた目標を考えてみよう。V社の幹部はもっぱら社員の雇用を守ることに関心がある。毎年、前年以上の利益を上げられなければ、B社との協力を打ち切って他のクライアントを探すこともいとわないだろう。一方、B社のほうは、必ずしもV社からまるまる5%の価格引き下げを得る必要はない。2年ごとの見積もり依頼プロセスに関わる管理費をなくすだけで、向こう5年間で100万ドル以上の経費を実際に削減できるからだ。

こうした真実を打ち明けるには、双方に相手に対する多大な信頼がなくてはいけない。

(5)不意打ちは避ける

交渉で不意打ちを好む者はいない。交渉のテーブルにつく前に社内であらゆる可能性を検討した、と信じたいのである。良好な協力関係を決裂させる最も簡単な方法の1つは、思いもよらぬ手順の変更や交渉の余地のない要求で相手に不意打ちをくわせることだ。相手が準備しているはずのない問題を持ち出すことで相手の不意をつくのは、無礼な行為である。

戦略的パートナーシップにとっての課題は、公正さと信頼を大切にしながら自然な流れで価値の創造に進んでいき、それから価値の分配に戻ることだ。このアドバイスに従うことで、ネゴシエーターは取引ゾーン(trading zone)──つまり、手にする価値を最大限にできるよう互いに本当に助け合う交流モードに入ることができる。

(翻訳=ディプロマット)