相次いで生まれる「余計なお世話」条例

数年前から、電車に乗ると消費者金融の「過払い金・返還請求」を勧める弁護士や認定司法書士の広告が目立ち始めた。最近だとテレビCMを流すところまで現れ、弁護士の間では「そんなに儲かっているのか」と驚きの声があがっている。

その過払いの原因となってきたのが、利息制限法の上限金利(年15~20%)を超え、出資法が無罰としている年29.2%までの範囲の“グレーゾーン金利”である。しかし、そのグレーゾーン金利も10年6月までの改正貸金業法の全面施行によって撤廃される。一部の弁護士や認定司法書士たちの懐を潤わせてきた“過払い金バブル”も早晩ピークアウトする可能性が高い。

グレーゾーン金利がなくなることは、確かにいいことなのだが、思わぬ副作用が表れる。改正貸金業法の全面施行で総量規制が導入され、貸付総額が借り手の年収の3分の1以下に抑えられるからだ。リストラや営業不振で、ビジネスマンも自営業者も収入が安定しなくなっている。ということは、万が一のときに必要なお金を借りられなくなる恐れがあるのだ。

また、09年6月1日から道路交通法施行令が改正され、厳しい行政処分が科せられるようになった。呼気一リットル当たり0.25ミリグラム以上の酒気帯び運転は、以前だと90日間の免許停止で済んだ。それが即免許取り消しとなり、免許を再取得できない欠格期間が2年も科せられる。

そこで問題になるのが、酒気帯び運転で人をはねた場合。車の運転を仕事にしている人だと、次の日から稼ぎを失う。それゆえ「逃げてしまえ」という衝動にかられる。その結果、すぐに救護されれば助かった被害者の命が奪われるという最悪の事態を招いてしまうのだ。